ERPの海外展開の4つの課題と導入後の4つのメリット

大企業を中心に普及し始めたERPは近年、中小企業向けにも続々と登場しています。経営効率化は企業規模を問わずさまざまな企業に共通している課題です。またグローバルに積極的に取り組む企業にとってもERPは欠かせない存在になりつつあります。

今回はERPの海外展開についてメリットそして今後の課題に着目しました。

ERPで海外展開する企業が取り組みたい4つの課題について

まず、ERP(Enterprise Resource Planning)とは企業資源計画といって、企業がもつさまざまな資源を統合的に管理し経営を効率化する概念です。この考え方を具現化したものがERPで、現在ではシステムの名称として使われています。さらにこれを実現するためのソフトウェアをERPパッケージと呼びます。

人事・商品・販売・情報などの企業の重要データをまとめて管理し、リアルタイムな経営判断に役立てるという計画=考え方です。企業の今を正確かつタイムリーに把握することは経営戦略や戦術の決定材料になります。

グローバル化を目指す企業の導入も進んでいます。では海外展開する企業がどのような課題を抱えているのでしょうか?ERPで取り組みたい4つの課題を見ていきましょう。

国が違うとリアルタイムの情報共有が難しい

海外拠点との情報共有は日本にある本社が海外拠点に情報を要請してから、届いた情報を本社の管理システムに加工します。データを要請するのは簡単ですが、取得するまでに時間を要するのでリアルタイムでの情報共有は難しいでしょう。

さらに国が違うと集約がスムーズに進まないトラブルも起こります。現地の担当者とのコミュニケーションが上手くいかないと連絡のやりとりに時間を要します。またコミュニケーション不足により要求したものとは別のデータが届いてしまうこともあります。

国が違う事で国内よりも何かと時間がかかってしまう

海外拠点の顧客・生産・販売などのデータはその国の現地独自のシステムで管理されています。日本にある本社がこれらのデータを取得する場合、データを送るよう現地の担当者に連絡します。送られてきたデータは本社のシステムで分析や管理ができるよう整理します。

しかし国が違えば管理システムも違います。日本のそれとは全く別物なので、データを集約した後の作業に非常に時間を費やしてしまいます。送られてきた情報が日本の本社の管理システムにそのままフィットすることは非常に稀です。

現地の法律・会計・税務・通貨・言語への対応が難しい

海外展開では現地の法律・会計・税務・通貨・言語などさまざまなものに対応しなければいけません。日本とはまったく違うのでこれが非常に難しいのです。例えば決算処理の場合、通貨が違うのでデータを取得した後為替レートを確認しながらの作業になります。

それ以外にも法律や税務など国によって全く違うので、対応は困難です。

海外拠点の状況を本社で把握するのが難しい

海外拠点の状況を把握するには現地の文化や規則そして事情を理解しなければいけません。現地では現地のやり方があると反発されることもあるでしょう。そう簡単に本社で把握することはできないのです。

そもそもグローバルERPとは?導入する4つのメリット

海外にはあらゆる可能性があります。また日本市場の為替変動・成熟や縮小・海外における日本製品の需要増加といった背景もあるり、日本の企業の海外展開は例年にない活性化を見せています。特に日本の中小企業は海外店舗にとても意欲的です。

日本が誇る技術力を活かした高品質の製品は海外でも好感触を得られることでしょう。こうした日本企業のグローバル化が進むなか、海外進出にはさまざまな課題が立ちはだかります。その一つがグローバル化における情報共有のしづらさです。

従来、日本企業の本社システムが海外拠点のシステムに関与してこなかったことが原因です。限られた予算内での自力での情報収集、パッケージソフトを導入してのシステムの構築、Excelを駆使した手作りのツールを使って管理しているところも少なくありません。

そこで提案したいのがグローバルERPの導入です。国内だけでなく海外拠点のさまざまな資源を統合的に管理し経営を効率化する計画です。ではどのようなメリットを得られるのか見ていきましょう。

海外拠点との情報共有が可能となり業務が効率化する

今まで情報共有のために費やしていた時間が削減され短期間で無駄のない運用が可能になります。国内そして海外拠点の業務の効率化を実現することができます。

海外拠点の言語・法律・会計・税務・通貨への対応が簡単になる

グローバル展開しているERPなら対応が難しかった言語・法律・会計・税務・通貨をベンダーが対応するのが一般的です。国ごとの文化や規則、拠点によって違う商習慣にも柔軟にフィットします。例えばNetSuiteであれば世界30,000社以上、160ヵ国以上で導入されています。

言語は20そして190種類以上の通貨による業務に対応します。さらに100種類以上もの税務報告書に対応しグローバル進出に必要なシステム環境はそろっていると言えるでしょう。難しかった対応が簡略化されます。

管理システムの共通化によって効率的に業務を行う事ができる

市場変化が年々加速するなか海外展開している企業が生き残るにはコスト削減や業務の効率化の見直しが必要です。グローバルERPの導入によって、今まで時間のかかる難しい作業だった情報共有はスムーズに進み効率的な業務を行うことができます。

処理にかかる時間の短縮やコストの削減ができる

海外拠点から情報を取得するまでには時間がかかっていましたが、グローバル化を伴うERPによりリアルタイムでの情報共有が可能になります。処理にかかっていた時間やコストを削減することがで、企業はリアルタイムでの経営基盤を入手できるのです。

ERPを海外展開で上手に活用するためにすべき事

大手企業ではERPの導入が加速しており、およそ7割の企業がERP運用していると言われています。その導入目的は利益向上・コスト削減・経営効率化などが挙げられます。この波はすぐに中小企業にも訪れると予想されています。

しかしあくまでもERPパッケージは経営効率を向上させる支援ツールです。導入目的を明確にもち最大限の活用を考慮する必要があります。ではERPを上手に活用するための重要なポイントを抑えましょう。

海外拠点に共通の管理システムを導入する

海外拠点ごとに複数のシステムがある状態では情報の管理がバラバラで、集約するにも参照するにめ調査するにも手間と時間がかかります。従来のやり方では海外拠点が増えるたびにその国の法制度が変わるたびに、手作業での変更が必要でした。

また問題が発生しても認識するタイミングが遅くなってしまうためタイムリーなアクションを取ることができません。しかし各領域統一のERPパッケージなら海外拠点に共通の管理システムであらゆる対応が容易になります。

システムの構造的に複数拠点に対応する仕組みになっているので、海外拠点が増えた場合でも登録するだけですぐ利用することができます。その国の法制度が変わってもメーカーがプログラムを修正してくれます。

また現地のリアルな情報を本社にいながら把握することができるので、たとえ問題が発生しても即時な対応が可能です。  このように海外拠点に共通の管理システムなら、あらゆる業務の素早い対応が可能になります。

管理システムを構築実装できる業者に現状と希望を相談する

管理システムを構築実装できる業者なら変化の激しい経営環境でも素早く対応することができます。ERPはサービスの提供方法によっていくつかの種類があるので、希望のサービスを業者に相談しましょう。

  • プライベートクラウドERP

企業のオンプレミスERPをデータセンターに実装してクラウドサービスを提供します。データセンターに専用領域を用意することが特徴です。

  • パブリッククラウドERP

ベンダーのデータセンターに実装されたERPを提供します。従来のデータベースを一元化しながら多くのユーザーへのサービスが可能です。特徴はベンダーにメンテナンスを一任できることです。

  • ハイブリッドクラウドERP

本社のオンプレミスERPと海外拠点のクラウドERPを連携します。プライベートクラウドERPとパブリッククラウドERPを組み合わせるなど、複数のERPを利用できます。近年増加している方法です。

ERPの導入する事によって様々な課題を解決する事ができる

ERP導入は大小・業種関係なく企業にとって大きなメリットを得ることができます。経営効率化・利益向上・コスト削減などはもちろん、そのほかにも副次的な効果を得ることができます。

基幹システムの全面刷新は業務の属人化を解消してグローバルの業務標準化を図ることができます。同時に若手社員を参画させることで人材育成が可能です。

ERPの海外展開の課題のまとめ

近年多くの企業がグローバル化の実現を取り組んでいますが、海外展開には様々な障害があり失敗する企業も少なくありません。失敗はビジネスに停滞を生んでしまいます。そうした失敗を回避し課題を解決するためにも、ERPの導入が有効です。

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